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農業の担い手、消費者交流、今後のビジョンについて

2000.12.1


Q1
農業の担い手の確保の手段として、どのような事をお考えでしょうか。
農業者の方が法人化し、就農者を募ったりしていますよね。
また、就農希望者も増加しているようですし。
A1
 ずっと、日本の農業は世襲で継がれてきていました。ご承知のように、この点が外国と大きく違う点だと思います。
特に、農地が大きな問題です。地価の高いところでは、今や農地は農業生産手段でなく、資産価値のほうが大きくなってしまいました。例えば、米の場合、いくら生産コストを低減しても、10アール当たりの所得(粗収益から農業経営費を引いた額)は、5万円くらいでしょう。さらに農企業利潤(粗収益から、農業生産費(農業経営費に自作地地代、自己資本利子評価額、自家労働評価額を加えたもの)を引いた額)は赤字かたとえプラスでもわずかな金額だと思います。しかしながら、農地の価格は、普通10アールで100万円以上はします。(私どものような僻地でも50万円くらいはします)。100万円の農地を購入したとして、その経費を農企業利潤で支払うことは非常に困難です。いや、不可能です。農業をしない者には農地は必要ないのですが、資産価値が高いため、手放さないし、買うとしても採算にあわないし・・・。そこで、農地は借りるしかありません。しかし、戦後の農地改革のことが頭の中にある人は、なかなか土地を貸そうとはしません。何とか、農地の問題はクリヤーしないと新規参入は難しいですね。私たちは幸い先祖が残した土地があるからいいのですが・・・。 しかし、最近は私どものような山奥では、耕作者不足が非常に切実な問題になっています。加えて、資産価値も町とは違ってほとんどありません。ですから、結構農地を得やすい状況にはなりつあります。岡山県ではニューファーマー確保対策事業という事業なんかをして、新規参入希望者に当面の生活援助や経営指導、農地の斡旋なんかをして、最近、担い手が増えつつもあるようです。
 しかし、米の新規参入者は非常に少ないです。ほとんどが施設園芸です。農業に何故、多額な税金が投入されているのか、を考えると、本当は、米大豆麦のような基本的食料の自給力維持のためだと私は思っているんですが、どうもそんな土地利用型農業は儲からないため、参入者は少ないみたいです。
 消極的ですが、私の地域では「農業の担い手確保」はできないと思っています。それよりも「農村の担い手」の確保が大切と思っています。私どもの地域は昔から稲作中心の農村集落です。稲作は個人個人で行うものではなく、水利のように集落全体でないとできないことが多いです。集落機能の維持と稲作の維持は表裏一体のものです。ですから、農業で生計を立てなくても兼業で稲作ができればいいと思っています。事実私も兼業農家ですし、私どもの会員も米で生計を立てている者はいません。しかし、地域の溜池や水路を守らないと稲作はできないし、稲作ができないと田が荒れ、集落が荒れ、集落が存続できないことになります。
 しかし、儲からない稲作をするには、少しでも、やりがいがある稲作をするしかなく、そのため、私どもはこの会を結成し、有機栽培の米を通して消費者交流を深め、何とか稲作の維持、集落の維持をしようとしているところです。なんだか、答えになっていません。ごめんなさい。
 農業の大切さ(人が生きていくために必要な食糧生産)は何か、自分たちの子どもに伝え、兼業でいいから、耕作を続けてほしいと思っています。そして、農業の大切さがわかる方にはどんどん私たちの集落に入って来てほしいと思っています。

Q2
消費者に農産物のできる田んぼや、生産の過程を良く理解してもらい、相互に顔が見える食糧流通を実践されていらっしゃいますが、つまり消費者と交流はあるのでしょうか。
籾村地域のお子さんが、農業を手伝う光景を目にしました。
そういった地域での交流は、深いんですね。
私は実際体験で、交流を通じた農業に、魅了された事が何度もあります。
A2
私どもはこれを一番大切だと思っています。農産物の流通は今まで、単にモノとカネの流れでした。今農産物の表示にいろんな文句が氾濫しています。JAS法の改正で有機農産物の品質表示が規制されるようにはなりましたが、まだまだ、消費者にはわからないことが多いのではないでしょうか。一方、農家、特に米農家は、昭和17年に制定された食糧管理法の影響が未だ強く、米は、農協へ出荷することが当然になっており、米価が下がると農協や政府のせいにしています。これからは、いくら美辞麗句を農産物に表示しても、だめだと思います。今、食べている農産物は誰が、どこで、どのように栽培したものかを実際に見ることが消費者は一番納得すると思います。一方、生産者も、自分が作った農作物が誰が食べるのかわからず、とりあえず農協に出荷するよりも、誰が食べるかがわかるほうが、栽培する意欲と、責任を持つことができると思います。私たちの会でも、消費者との交流を通じて、消費者の顔が見えると、やる気と責任がわいてくるようです。これからの流通の一つの方法として、重要なことと思います。

Q3
今までの質問と重複内容の質問かもしれません。今後のビジョンは、どのようにお持ちでしょうか。
A3
 今後のビジョンは難しいですね。私は自分の子どもには今の私のような生活をしてほしいとは思いますが。近所の同年代の人は、学校を卒業とともに、都会へ出てしまいました。私の子どものそうなるかもしれません。大企業に就職したら転勤が全国ネットになったりして、副業で農業をすることなど不可能です。 しかし、私の近所では、田植え、稲刈りには年老いた父母の作業を手伝いに帰ってくる人も結構います。彼らが、定年後、こちらに帰って農業をしてくれればと思います。定年後の生きがいとか、健康のためには農業はいいと思います。非常に消極的ですが、それくらいしかビジョンは見いだせないです。
 米のをはじめに、野菜も最近はどんどん輸入が増加しています。これはもはや事実として受け止めるしかありません。どう見ても、中国等の安い人件費の国やアメリカ等のスケールメリットを生かした国には日本農業は対抗できません。最近では、中国や東南アジアの国の農産物も品質が国産のものと変わらなくなっています。これはもう事実として仕方ないことと思います。ですから、せめて、自分たちの食べるものは自分たちで納得のいく栽培をする。そして、自分たちの農産物を理解してくれる消費者に販売する。細々と、定年帰農や兼業農家でいいから、やりがいのもてる農作物生産を行い、集落を守ることができれば何よりと思っています。

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